プリズムを使って光を七色に分ける実験を覚えているでしょうか。一番端には赤が、反対の端には紫が見えました。この赤のさらに外側に見えない光・赤外線があります。現在では、物質から放射される見えない光を利用して物質の熱分布を画像としてあらわす赤外線サーモグラフィーが、さまざまな分野で利用されています。
夏の暑い日にテレビに登場する暑い場所は赤色に、涼しい場所は青っぽく塗られた、出来の悪い塗り絵のような映像がそれです。赤外線サーモグラフィーはこのように、物質の温度分布を知るために使われますが、これを工学分野では物体の剥離などの欠陥を、壊さずに調べる非破壊検査の為に使っています。例えば飛行機の翼の内部は、ハチの巣のような六角柱が密に並んだハニカム構造をしていますが、一つ一つの接着面がはがれると安全性能に支障をきたします。しかし、点検のために全部分解するわけにはいきませんから、赤外線サーモグラフィーを使った非破壊検査で不具合の有無を確かめます。
方法としては、まず全体に熱を加えます。異常が無ければ均質な色調の画像がサーモグラフィーに映ります。しかし、剥離や腐食がある場合はその場所の物資変化による熱容量の違いのために、そこだけ色の変化が見られます。こうして、赤外線サーモグラフィーによる非破壊検査で異常が発見されるわけです。
現在でも構造物の検査では一般的となりつつある手法ですが、この技術を応用した検査技術は今後も広がっていくと予想されています。主な利点として、X線や放射能を使った同様の検査より安全性が高い特徴があるためです。TOSAのことならこちら
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