非破壊検査は、検査を行う対象物を壊したり、その物にダメージを与えたりすることなく分析を行って、例えば未知の物質であれば、その物がどのような化学的構造を持っているか、何が含まれているのか、どれだけ劣化しているのか等の様々な情報を得る検査方法のことです。製品を製造する現場では、その製品が出荷して良い基準に達しているかの検査に使われますが、研究所において初めて開発した物が意図した通りに出来ているかを調べたり、トラブルの原因を解析したりする場合にも、非破壊検査は証拠を保全できるという点で有効であると言えます。研究所における非破壊検査の代表的なものに、赤外線吸収スペクトル法があります。この方法は、検査対象の物に赤外線を照射して物の中を通ってきた赤外線を、分光器を用いてスペクトルを得る方法です。
物質を構成する分子は固有の振動を持っており、分子の固有振動と同じ周波数の赤外線が吸収されるので、分子の構造に応じたスペクトルが得られます。スペクトルは物質に固有の物なので、ある物質を意図して合成した時に、既に分かっているその物質のスペクトルと比較する事で、予定通りの物が出来ているか確認することが出来ます。また赤外線吸収の大きさは物質の量に比例するので、注目している物質が検査対象の物の中にどの程度の比率で含まれているかを調べることも出来ます。実際の測定機は液体でも固体でも、様々な形態の試料に対して非破壊検査を実施できるようなホルダーやセルなどの備品を備えています。
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